家がつぶれてしまった時のことを考えて、本当に大事な物とそうでない物を分けようかと...
何でも捨てられないでとっておく性格は、押入れの中に開かずの段ボールを10個以上生み出すことになってしまっていた......
15年以上前からたまり続けているたくさんの雑誌。
スキャナが安く手に入るようになったら全部読取ってデータ化しようなんて思ってたけど、少し狭い部屋に引っ越したせいもあって箱を開ける気になれなかった。
いろいろほじくり返しては懐かしいものが出てきて手がとまってしまう。
初めて買ってもらったマンガの単行本。
中学生の時陸上部で履いていたスパイクと、区大会でもらった唯一の表彰状。
プレーヤーが壊れてからずっと聴けていないレコード。
そして、中学2年の時に学年全員で行った旅行日誌が出てきた。
途中で転校してしまったから自分にとってはこれが卒業アルバムのように大事なもの。
初恋の人が写っているたった1枚の集合写真。あの人は今どこで何をしているんだろう？
地震の時は大丈夫だったんだろうか？幸せに暮らしているんだろうか？
告白もしないまま引っ越したことがすっごく悔やまれて、陸上部の仲間に書いた手紙の中で告白を頼んだ。
「好きだったって言ってたよ」って伝えてと...
あの人も陸上部だったのに、同じ長距離チームだったのに、好きすぎて、緊張しすぎて、部活の業務連絡の会話もろくにできなかった。
仲間が伝えてくれたのかどうか返事はこなかったけど、自分からもこわくて聞けなかった。
人気があったから同じように好きだったかもしれないし......
ずぅっといい思い出になってたはずだけど、久しぶりに写真を見たら無性に会いたくなった。
会ってちゃんと告白、というか伝えたくなった。「あなたのことが好きでした」と。
お互いいい大人になってるけど、きっといい老け方をしているに決まってる。
たった2年間同じ学校に通って、同じ部活をやってただけだけど、あの人とすれ違った時に漂っていた香りは今でも忘れられない。
いきおいで思わず無料の同窓会サイトに登録してしまった。
あの人の名前はなかったけれど、10人くらい同級生が登録していた。
名前を見ただけでほとんどの顔が思い浮かんだ。
半年後なのか1年後なのか...タイミングが難しいけど...日本が落ち着いたら同窓会を呼びかけてみよう。
そしてあらゆる手段を使って、あの人に連絡がつきますように、会えますように。
今なら普通に話しかけられる....はず....だけど、
目の前にしたらやっぱり固まっちゃうのかなぁ...
それでもいいか......あの人の笑顔をもう一度見てみたい。
